Channelrhodopsin

Crystal structure of the channelrhodopsin light-gated cation channel

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緑藻類から単離された光駆動性の陽イオンチャネルであるチャネルロドプシンは,青色光を吸収すると陽イオン,とくにNa+を取り込むという性質をもつ.そのため,このタンパク質をニューロンに発現させ青色光を照射するとおもにNa+が細胞内に流入する結果,脱分極が生じニューロンは興奮する.この性質に着目することで,チャネルロドプシンは自由行動を行っている生物においてニューロンの集団を非常に高い時間分解能および空間分解能で興奮させることのできる有用なツールとして,2005年以降,利用されつづけてきた.しかし,その有用性の認知と応用例の増加とは裏腹に,チャネルロドプシンの分子機構については現在まで驚くほどその知見が不足していた.今回,筆者らは,チャネルロドプシンの結晶構造を2.3 Åという高分解能で決定した.さらに,この結晶構造と電気生理学的な解析の結果,発色団であるレチナールの結合部位の詳細な構造や長らく論争となってきたチャネルロドプシンのイオン輸送経路を解明し,同時に,チャネルロドプシンの初期反応を明らかにすることに成功した.今回の結果は,光エネルギーを陽イオンの輸送に変換する分子機構の一端を明らかにしたというだけでなく,神経生物学のツールとしてより有用な変異型チャネルロドプシンをデザインするため必要な構造情報を提供したという点にも大きな意義がある.


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